慈雲山 瑞輪寺の御首題
▼瑞輪寺の御首題です。
中央の印は「東京谷中 徳川家康公創建 瑞輪寺」「東京 谷中 七面山」とあり、
さらにお題目の脇には「東京七面山」「飯匙之祖師」と書かれていますので、
これだけでも寺の一部を理解することもできるでしょう。
▼御首題は境内右手にある寺務所でいただきました。
御首題をいただいたのは10月。掲載写真の殆どは11月下旬ですので寺務所前も紅葉の名残りがありました。
▼70以上の寺が密集する谷中の寺町の中心部あたりに「瑞輪寺」があります。
JR・京成線「日暮里駅」や、地下鉄の「根津駅」「千駄木駅」のどの駅から歩いても7〜8分あれば到着するでしょう。
▼寺の南からアクセスすると山門まで広い参道が延びています。
山門手前左には谷中にしては広めの寺専用駐車場があります。
もちろん墓参などで利用する檀信徒専用ですが、寺の参拝と見学、御首題をいただく事を伝えて、短時間の駐車ならお咎めはないでしょう。
▼山門前の題目塔の一番下の文字は何でしょう?
▼側面は山号と寺号が朱色の文字で彫られていました。
▼山門には様々な文字で溢れています。当寺は日蓮宗由緒寺院「本山」です。
▼「潮師法縁」は聴きなれぬ言葉ですが、日蓮宗で言うところの流派・学閥のようなもののようです。
▼本堂に向かう途中の参道脇に瑞輪寺の開山 日新と、開基 家康の関係がイラストで解説されていました。
寺は1591年、日本橋馬喰町に創建。
その後、火災の連続により、神田、谷中へと移転しています。
谷中へ移転後も台風で堂宇が損壊、さらに明治に入って上野戦争では戦火で全てを失い、現在見られる建物は、その後の復興と重ね続けられた改修などによるものです。
▼鐘楼は家光の寄進により元禄年間に建立されたものと伝わります。
▼向拝には目一杯の装飾彫刻が施されていました。
▼瑞鳥である鳳凰、そして龍と木鼻の獅子の眼はオチャメでした。
▼「客人稲荷」の名称由来は分かりませんが、ご利益は一般的な稲荷社と変わりません。
「客人」は「きゃくじん」ではなく「まろうど」と読みます。
▼「客人稲荷大明神」は、瑞輪寺の子院「本妙院」でも見られました。
瑞輪寺は「江戸十大祖師(えどじゅうだいそし)」に数えられます。
その祖師像は境内の「祖師堂」に祀られていますが、
祖師堂へは一旦、瑞輪寺山門を出て反時計回りに東の路地に回ります。
東京の「七面山」ですが、日蓮宗総本山の身延山の西にある聖地が「七面山」です。
身延の「七面山大明神」に参拝するには5時間前後の険しい登山以外方法がないそうですが、
「東京 七面山」は難なく登れて参拝できます。
手水舎もあって独立した寺院のような姿ですが、ここも瑞輪寺です。
▼いただいた御首題には「飯匙之祖師」とありました「飯匙祖師堂」です。
「飯匙」は「いいがい」「いがい」「しゃくし」とも読まれるそうですが、ここでは「しゃもじ」と読むのが正解のようです。
「匙」は本来の「しゃもじ」が縮まって「さじ」と読まれるようになったかもしれません。
▼「七面宮」は身延の「七面大明神」が勧請されています。
▼「包丁さばき」と「さじ加減」は切れない関係でしょう。
▼現代の「百度石」は本来の役目ではなく、もっぱら記念碑的存在のようです。
谷中は日蓮宗の寺院が多い地区です。
かつては御首題をいただける寺院は少なかったのですが、
ここ数年ではイラスト、キラキラ御首題をいただける寺院も増えました。
そんな中で正統派の御首題がいただける瑞輪寺です。
「南無妙法蓮華経!」