▼威光山 法明寺の御首題です。(日蓮宗/東京都豊島区南池袋3-18-18)
右上の印は東京の民芸品でもある「すすきみみずく」鬼子母神、雑司ヶ谷の文字。
中央の印は「是好良薬」。「是の好き良薬」と読み、法華経にある文だそうです。
具体的な「薬」を示すものではなく、釈迦の教え、導きの言葉なのでしょう。
左下の印は「雑司谷 威光山 法明寺」でしょう。
▼御首題はこちらの寺務所でいただきました。
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▼法明寺へは池袋駅、目白駅、雑司が谷駅など、どこから歩いても4〜500mほどです。
法明寺の名称より「雑司が谷鬼子母神」の名の方が一般には知られていますが、
鬼子母神が祀られている「鬼子母神堂」は、法明寺の飛地境内で、本社的な立場が法明寺です。
▼その有名な「鬼子母神堂」方面から歩くと「東京音大」の建物に出会います。
▼法明寺境内の参道は生活道路として解放されているようで、池袋方面からの近道らしく音大の学生らしき若者の往来が多く見かけられます。
▼参道途中に法明寺の塔頭「観静院」があります。慶長年間に創立された古い寺です。
法明寺は塔頭や、いくつもの末寺を持つ大寺だったのです。
▼その塔頭「観静院」は「雑司が谷七福神」の「弁財天」を祀っています。
本ブログでも東京近郊の七福神は多く巡っていますが、「雑司が谷七福神」や「池上七福神」などは未消化で、詳しくはわかりません。
▼そして、この案内。
「寺の朱印はありません」???文字通りなのでしょうが、
七福神の御朱印は正月だけの授与でしょうから、結局「御朱印はありません」ということなのでしょう。
だとしたら「寺の」という文字が余分のように思いますし、きっと誤解されてしまう事もあるでしょう。
何れにしても「御朱印」を求めてピンポ〜ンする人が多いのでしょう。
▼春には桜の名所ともなる法明寺参道に戻ります。
掲載の御首題の日付とは異なり、写真の撮影は2021年11月。
木々の色づきに秋の深まりを感じさせられます。
▼「山門」の左隣に「花塚」です。
あらゆる「塚」がありますが「花」は初めて目にします。
華道家の勅使河原和風による造立だそうです。
▼さらに細かい漢字が並んだ石柱。読むのも煩わしく感じますが、易しい文字ばかりでした。
▼石柱はこの「安国堂」の階段整備の内容が刻まれたものでした。
「安国堂」は日蓮が祀られている、ほかの日蓮寺院で呼ぶところの「祖師堂」です。
▼法明寺の住所は南池袋。しかし山門は、田舎の山寺のような雰囲気を持っています。
▼さらに、山門をくぐると都会の寺院とは思えない感覚が深まります。
と言うよりも、手入れが行き届かないのかな?とも感じさせられます。
あえてこの森の中のような雰囲気を保っているとしたら成功していますが・・。
同じく、多くの参拝者を集める「鬼子母神堂」の境内も、
なんとなく雑然としていて、都会的な洗練さは見つかりません。
都心部の寺社が、追い立てられるようにドンドン洗練されたモダンな境内になっていく中で、
土があり、そこには雑草も生え、木々も生い茂る。
そんな寺院や神社が残っていることの方が貴重かもしれません。
法明寺が創建されたのは嵯峨天皇の時代の810年。
開創当初は真言宗で「威光寺」の名称でした。
日蓮宗に改宗され、寺号も法明寺と改められたのは1312年だそうですから、鎌倉時代末期になります。
東京の多くの寺社同様、法明寺も関東大震災や戦災により堂宇を失っています。
したがって寺の建物は戦後、昭和の時代に再建されたものです。
▼きっと、この扉の奥には曼荼羅を中心とした仏・法・僧の三宝が祀られているはず。
▼天水桶のモチーフは「みみずく」でしょうか?
「ぞうしがや」の谷に建つ寺は「タイムスリップ」できる寺でもありました。