▼慈雲山 本妙院の御首題です。(日蓮宗・東京都台東区谷中4-2-11)
お題目左右の添え書き内容は、一般的に一番多いのが
「如説修行 功徳甚多」と書かれることでしょう。
しかし本妙院では初めて目にする言葉でした。
我深く汝等を敬う あえて軽慢せず 所以は何ん
汝等皆菩薩の道を行じて 当に作仏することを得べし
法華経の一説だそうですが、意味は何となく理解できますが、正確には
「私はあなたがたを深く敬い、決して軽んじることはしない。
その理由は、あなたがたは皆、菩薩の道を行じて、必ず仏と成る存在だからである」
だそうです。
▼御首題の四隅4色のマークは調べたら家紋でした。
「井筒に橘」という家紋です。この場合は「寺紋」というのかもしれません。
日蓮宗の多く使われる家紋だそうです。
後で調べたら日蓮は、橘紋を使用する井伊氏一族出身なのでこの紋が使用されるそうです。
では 緑・黄・青・赤 の4色は何を意味するのでしょう?
ただ単にカラフルにしただけではないはず。
御首題をいただいた時、お聞きしていませんでしたので推測ですが、
▼おそらくこれを表しているのでは?
度々見かけますが、本妙院ではなく奈良長谷寺の写真の「五色幕」です。
その五色は
黄=仏陀の身体の色。
赤=仏陀の血液の色。
青(緑)=仏陀の頭髪の色。
黒(紫)=仏陀の袈裟の色。
白=仏陀の歯の色。
釈迦の身体と教えをシンボリックに解釈しているそうです。
インドの「五大思想」や、中国の「五行思想」に因む考えとか。
解釈の相違や宗派による捉え方の違いなどがあるそうなので、
正確には分かりませんが、本妙院の御首題の意味するところではないかと思います。
ちなみに白色はスタンプにならないので省略という事でしょう。
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▼本妙院は谷中に細く入り組んだ道に寺が密集する中にあります。
有名な「谷中のヒマラヤ杉」を目当てに歩けば寺が見つかるでしょう。
▼細い道の突き当たりに寺の門というのは、谷中ならではの風景でしょう。
▼本妙院を訪れる前に「長運寺」に寄り道して見ました。
長運寺ではコロナ禍で御首題授与は休止中ということでした。
谷中ではそんな寺が多いかもしれません。
「南妙法蓮華経」とだけ唱えて寺を出ます。
▼「ヒマラヤ杉」の手前で気になる囲いがありました。
▼「谷中富士」でした。
谷中は何度も歩いていて「富士見坂」はありますが「富士塚」は初めて気づきました。
「ヒマラヤ杉」の下は歩いているのに、杉を見上げるばかりで気づかなかったかもしれません。
▼さて、やっと本妙院です。
▼門の扉に御首題スタンプの「井筒に橘」です。
青い屋根が印象的な小さなお寺さんです。
本堂は地方の田舎を訪れた時に目にするような佇まいです。
▼失礼して本堂内を・・・。若々しい日蓮さんです。
家紋に知識はなく、大きな興味もないのですが、いつも屋根の頂は気になります。
▼青い屋根に「井筒に橘」が輝いていました。
▼こちらの庫裏をガラガラッと開けて御首題をいただきます。
▼手前の水盤は「文政八年 乙酉正月」の文字。おおよそ190歳です。
▼寺の裏は広い墓域。きっと複数の寺の墓地となっているのでしょう。
▼山門脇の稲荷社です。
▼「谷中 客人稲荷大明神」。
珍しい名称の稲荷社は、同じ谷中の「瑞輪寺」で初めて目にしています。
▼稲荷社の左下に小さな祠。額の文字は「金勢明神」と何とか読めます。
▼中を伺って見ます、んんんっ?
▼何とメンズシンボルでした。まさに「金勢」です。
神社ではよく見かけますが、日蓮宗の寺では初めて目にしました。
きっとご利益はどこも同じでしょう。
初物が多い今回の訪問ですが「初」と言えば、
▼谷中にはこんなところも・・・
何度も訪れている谷中ですが、まだまだ「初」体験の多い街です。