2012年の御朱印はすばらしい独特の筆跡で、奉拝・日付・梵字・南無佛・裂石山 雲峰寺。
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▼雲峰寺は山梨県東北部の山の中です。
「柳沢峠」を超えて東京の奥多摩湖方面に続く「大菩薩ライン」は、奥多摩湖までは何もないに等しい山の中の道です。
しかし雲峰寺周辺には「裂石温泉」「一葉のみち」「大菩薩峠」などがあり、とても魅力的な地域です。
「裂石温泉(さけいしおんせん)」は日本秘湯を守る会所属の一軒宿で、日帰り入浴もできるそうですが、1泊12,000円前後ですのでぜひ泊まってみたい温泉です。
「一葉のみち」は塩山市へとつづく道ですが、樋口一葉とは直接の関係はなく、一葉の両親の出身が塩山市ということで名付けられたそうです。塩山市の慈雲寺には一葉の像と碑が建っています。
「大菩薩峠」は中里介山の大河小説にもなった標高1900mほどの峠で、そこからさらに標高2057mの大菩薩嶺に続く登山道があり、昔GWに登ったことがあります。
登ったと言っても「ロッヂ長兵衛」から歩いたので、ほぼハイキングでした。
しかし峠で少し天気が崩れ、大菩薩嶺への登りは霧の中の強風で、寒くて引き返したくなりました。それでもな何とか大菩薩嶺に着き天気も回復してきたのですが、大菩薩嶺は全く視界の開けない木々に囲まれた山頂でがっかりしたことを覚えています。
その大菩薩峠は、昔は峠越えをする前にこの雲峰寺に寄り安全を祈願した旅人が多かったそうです。
▼雲峰寺仁王門への石段の下に「甲斐三十三観音 第十六番札所」の石柱。観音霊場はどの地域にもあるものです。いただいた御朱印は「甲斐百八霊場 第十一番」ですが・・。
▼苔むした石段の参道は勾配がソコソコで、一気に駆け上がったら息が切れました。
▼200段近い石段途中の「仁王門」はじめ本堂なども重要文化財に指定されています。
▼山号は「れっせきざん」かと思いましたが「さけいしざん」と読むそうです。
「裂石」の由来は、雷により割れた岩の間から源泉が湧出したとされ、石が裂けたことが温泉名ともなったそうです。
寺伝では745年に「大石が裂け一夜にして生えた萩木(ハギ)から行基が本尊の十一面観音菩薩像を掘った」そうです。
いずれにしても雲峰寺と裂石温泉は切れない関係ということでしょうか?
武田氏滅亡の際、家臣たちが再興を期して武田家の重宝をひそかにこの寺に納めたと伝わっていて、かつての大河ドラマ「武田信玄」や映画「影武者」のロケ地にも使われており、また中里介山が「大菩薩峠」の執筆のため、寺の一室に起居していたそうです。
しかし、正午近くの時間の境内は人の気配が全くありません。庫裏で声をかけても無反応。有料拝観の宝物殿も閉まっていました。
▼室町時代の建立とされる檜皮葺きの本堂もシンシンとしています。
これでは御朱印どころではないものの、諦めきれずしばらくウロウロ。
▼意味不明なカイトのような吊り下げものを眺めながら、残念ですがこの時点では御朱印は諦めました。
▼寺を降りると駐車場の脇に生きてるのか? 死んでるのか? と判断できかねるようなオソロシ気な茶屋がありました。
こういう店は必ず覗いてみます。
店は生きていました。
生きてる高齢のおかぁさんが一人、店の留守番をしていました。
手前の自販機で買った缶コーヒーを飲みながら、しばし世間話。
寺が留守で御朱印をいただけなかったことを話すと、なんと店の奥から書き置きを出してきて日付も入れていただけました。
おかぁさん話好きそうで、暇そうで・・・話が止まりません。
でもそう長居もしてられません。
「おかぁさん ありがとう 元気でねぇ・・」
別れがたいおかぁさんに礼を言って、石が裂けるような気持ちで店を後にしました。