▼塩山 向嶽寺の御朱印。(臨済宗向嶽寺派大本山/山梨県甲州市塩山上於曽2026)
寺名は「こうがくじ」と読みます。
「嶽」は富士山を示すので「富士山へ向かう寺」という意味になります。
▼「南無観世音菩薩」の筆文字の上のコレは何でしょう?
他の寺院の御朱印で見たような気がしますが、勘違いかもしれません。
「禱」は「祈祷」の「祷」の旧字体ですから、文字通り「いのり」と解釈して良いでしょう。
何れにしても2022年現在では、いただける御朱印のスタイルは少し異なるようです。
住職や神職が変わったりすれば、その御朱印も変化してもおかしくはありません。
御朱印は「生き物」と言ってもいいでしょう。
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▼中央線「塩山駅」からバス利用できますが、歩くと20分ほどかかります。
▼「信玄のみち」と名付けられた県道沿いに「総門(外門・黒門)」を構えます。
門をはじめ寺は確かに富士山の方向を向いています。
寺は「塩の山」の山裾の丘陵地帯に建つのでタイミングが良ければ富士山が見えるでしょう。
もっとも山梨県はどこからでも富士山が見えると言っても間違い無いのでしょう。
▼総門先の重文指定されている「中門」は檜皮葺。
火災などで何度も伽藍を焼失した向嶽寺ですが、中門は唯一残っている南北朝時代の建築です。
瓦屋根の築地塀(ついじべい)は、付近の岩塩から「にがり」をつくり、漆喰に混ぜて築地を強化したと伝わり「塩築地」とも称されているそうです。
▼訪問者を阻むように硬く張りめぐされた土塀の手前に、禅寺ではおなじみの「不許葷酒入山門」の石柱は参拝者の気持ちを凛とさせます。
1378年が寺の起こりと伝わります。
道場の役目を担う寺の主な建物の内部や庭園は非公開となっていますが、もちろん境内拝観は自由です。
▼境内への唯一の出入りはこの通用門から。
▼堂々とした「仏殿」には本尊「釈迦如来」が祀られています。
江戸時代の再建から何度か修復の手が加えられているのでしょう。
▼境内東側に火伏せの神を祀る「秋葉神社」がありました。
周辺は桜の木のようです。春になれば向嶽寺の境内はピンクに染まることでしょう。
向嶽寺と同じ境内に建ち、神仏習合時代から変わらず特に境界は設けられていません。
▼屋根では獅子ガワラが泳いでいました。
ところで向嶽寺の後方の「塩の山」は、
かつては「四方の山」と呼ばれ、四方から山を望むことができるのでその名がついたと考えられています。
その「四方の山」の麓に向嶽寺が建立された時「しほうのやま」→「しおのやま」→「塩の山」→音読みにして「えんざん」を山号とし、塩山市の地名にもなったそうです。
「四方の山」の「の」の文字を取ると「四方山」になり、これは「よもやま」と読まれます。
また「よもやも」は「四方八方」と表記されることもあります。
この記事の最後は、まさに四方山話になりました。