日暮里の街
東京山手線内の駅で、内回りに上野を過ぎて鶯谷から駒込あたりまでの5駅くらいは利用したことがないし、街をよく知らないという人も多い。
「それ、東京?」と聞き返してくる女もいます。東京の田舎。
その中の日暮里駅。地方から出てきた人が正しく「ニッポリ」と読める人も少ない。田舎。
「ひぐれさと?」
読めないのが当たり前かもしれない。
200年ほど前は文字通り「ひぐらしのさと」と呼ばれていたそうです。田舎。
駅名も「ひぐらしの里」に改名したほうが駅名としては売れそうですが、蝉の里と勘違いされてしまうと?マズイ! ダメかしら!! 田舎。
日暮里駅から西日暮里駅の山手線は崖の下を走っています。
その崖の上の台地に、酒を酌み交わしながら虫の鳴き声を聴く人、子供を連れて夕涼みに来る女性もいました。
もちろん江戸時代のことですが、なんとも風流というか、ノンビリしてるというか、忙しい現代人には考えられないことです。
▼そんな様子を紹介した江戸名所図会があります。
道灌山、諏方台の地には寺社が点在しています。
別名で花見寺、月見寺、雪見寺と呼ばれている寺もあります。
富士山が見え、反対の遠方には筑波山が見えました。
四季折々の自然に恵まれ「風流の里」と言われ、
見所が多くそんな時間をわすれて「日が暮れてしまう里」だったようだ。
現代人のそれらしき形は、せいぜい春の花見か、バーベキュー、デイキャンプというところで、楽しいには違いないが風流とは距離が開きすぎています。
それどころか、人に「風流ですねぇ!」という言葉を出す人の裏には「古臭いですねぇ!」というような意味も含まれていそうな気がする風流と言う言葉自体死語に近いかもしれません。
死語になるか否かの、ガケップチ、にあるのでしょう。
トレインミュージアム
そんな崖っぷちの「風流」の里の崖下には電車がジャンジャン走っています。
現代版の風流か?
▼日暮里駅構内にこんな案内写真看板があります。写真の中央の緑が諏方台。
駅を出るとすぐに複数の線路またいで橋がかかっています。
下御隠殿橋という。写真案内の文字は「下御院殿橋」となっています。何故なのか知りません。
橋の名前には当然由来があります。もともとこの地域は上野寛永寺の所領地だったらしいが詳細はパスです!
橋は通称「トレインミュージアム」と呼ばれ、鉄道ファンは誰もが知っているとか。
博物館でも何でもなく、ただ高架橋があるだけですが、橋の下を山手線、上越東北新幹線、東北線、高崎線、常磐線、京成線など線路は10本以上あります。
そこをひっきりなしに列車、電車が駆け抜けていきます。
▼駆け抜ける電車の案内も掲げられています。
鉄道ファンでなくとも、見ていて飽きません。
ママ鉄、子鉄が集まってくるのももっともです。走り抜ける電車に眺め入っていると、やはり「日暮れ」てしまうかもしれない。田舎。
ミュージアムは大袈裟だろう、と思いましたが、赤い新幹線と緑の新幹線が連結され、走り抜けていくその姿を真上から見ていると、まんざら大袈裟でもなく通称「トレインミュージアム」に「承認印」を押さざるをえません。
田舎にゴーカク印!です。
橋を渡ると緩やかな上り坂になり、2つの寺を右に見て登りきったあたりが諏方台。
そのまま真っ直ぐ進むと「夕やけだんだん」の階段があり、階段を下ると、いつも賑わっている谷中銀座に入ります。
その階段まで行かないで橋から2つ目の寺、経王寺の角を右に折れる。前方からの一通になっている狭い道。諏方台通りです。
養福寺
▼この通りは江戸名所図会にも誌面を水平に横切っています。
経王寺の文字も見える。左ページには養福寺の文字も見つかり、仁王門らしき絵も確認できます。
▼養福寺山門です。
養福寺の仁王門は約300年前の建立だそうですから、図会に描かれた門がそのまま残っていることになります。
これ以上ないステキな時間的な田舎です。
東京にこれほど歴史を抱えているものが、そのままのこっている地は他に無いと思っています。そう言う意味の田舎です。
▲補陀落山 観音院 養福寺の御朱印。(真言宗豊山派・東京都荒川区西日暮里)
諏方神社
養福寺を後にして、さらに歩を進めると、左に「富士見坂」、その先の右側の森となっている場所が、その昔、見晴らしの良かった「諏方台」。
別当寺の浄光寺と諏方神社が隣り合わせています。
この神社、今日明日の26日(土)、27日(日)は例大祭。出店も数多く出るでしょうから人でごった返すでしょうね。
諏方台周辺には江戸時代から残されているものが点在しています。加えて谷中七福神の寺のほか数多くの寺があります。
ほとんどが観光寺ではないので御朱印をいただくのに神経を減らすかもしれませんが、集印者にも「日が暮れて」しまうこと間違いない街、日暮里です。
浅草サンバカーニバル
おっとっと、もうひとつ8月最終日の土曜は、ごった返すどころか、殺人級の混雑になるのが、浅草です。
三社祭より混むのではないかと感じる浅草サンバカーニバルの開催。
俗っぽい風物詩の極み! 半裸の観音さまたちが踊り狂うから、見物人が500,000人も集まるのも無理はないわね!
さて、今日は日暮里か、浅草か?
オマケで掲載。何年か前の写真は、カーニバルチームの出演後の退場シーン。
まぁ、これを見たら、男たちの今日は浅草に決まりね!
パレードが始まるのは1時半頃からで、夕方早くに終わってしまう。
急げ!!!!!!!!!!!!