紫雲山 英信寺の御朱印
「大黒天」の墨書きは同一筆跡。おそらく書き手さんは11年前と同じ!?
山号の「紫雲」は、臨終にあたって阿彌陀仏が来迎される時に乗ってくる紫色の雲と言われる。紫はめでたく、高貴な色。
「坂本」は旧町名の「下谷坂本町」。こんな町名が残っていれば「下谷」という地域の記憶も確かなものになったかもしれない。
▼御朱印は境内左手の授与所でいただいた。
▼一緒に「大黒天開運鈴」も手渡された。「りん Rinn リン!」
写真はないが授与所の前の木々の間に、柑橘系フルーツがいくつか針金でぶら下げられていた。
??と思い、聞いてみると野鳥がやってきて啄むとか。
どんな鳥かは聞きそこなったが、寺側の人柄が垣間見える。
果物で鳥たちが集まってくるとしたら、寺の風景らしい。
公園などの鳩にエサを与える人がいる。
ほとんどは年配者。それもなぜか男性が多い。
そして、ほとんどは近くに「鳩に餌を与えないでください」という注意書きがある。
都会では平和のシンボルも、いつしかからか害鳥に近い扱い。
勝手な人間に不利益な鳥たちは害鳥扱いにされるのだろう。
英信寺にもし鳩が現れて果物を啄んでも追い払われないかもしれない?
カラスだったら咥えて持ち去るだろう。
ムクドリ、鳩、カラスなどは嫌われ、野鳥たちの運命も人間の時代に左右される?
▼しかしこの界隈は工事中が多い。
▼趣ある参道の先の山門も、もしかしたらマンションの中に埋もれてしまう運命かも。
大きな本堂ではないが、流れるような存在感ある瓦屋根が印象的だ。
東京の小さな寺院はコンクリート製に再建されることが多い中、被さるような瓦屋根を持つお堂はそんなに多くはない。
▼山門も瓦葺き。下谷七福神のなかで一番の雰囲気を持った寺院かもしれない。
英信寺は1631年、深川の霊巌寺を創建したことでも知られる雄誉霊巌によって開山されている。当然、当時の姿は小さな庵で「紫雲庵」と呼ばれていたそうだ。
▼本堂の屋根が賑やかだ。「逆さ獅子」と「ぼたん」の花の飾り。
この二つのセットは、獅子の弱点である身体中に潜む虫「獅子身中の虫」を、
ぼたんの花の夜露が殺してくれるという言い伝えがあるからだそうだ。
全てに意味があるのだ。
▼そんなことも詳しく知らない我が目の先で獅子は笑っている。
▼本物かと思ったら、これも飾り瓦。ここではやはり鳩は害鳥ではない。
▼本堂の阿弥陀如来にお参りしたら、左隣のお堂に向き合う。
▼ここに「三面大黒天」がいらっしゃる。
▼神社のように手を叩く参拝者がいるのかもしれない?
「オンマカキャラヤーソワカ」覚えられるかな?
▼堂内に祀られた「三面大黒天」は弘法大師の柵と伝わる。ガラスで光って見えない。
▼ガラスにカメラレンズをピッタリつけてパシャッ! 失礼しました。
人々の開運を願う。
大黒天が三面ではなく、左右の顔は毘沙門天と弁財天。
なぜ、その三者を一緒にしたのだろう? 空海に聞いてみないとわからない。
何にしても各地で見る大黒天の像の中でも別格な地位にあるような姿。
空海作を疑わないことにしよう!
▼庫裡の屋根。飾り瓦や彫り物は再建されたらその存在が失われる?
小さな寺院をめぐることは少ない。
七福神や様々な霊場があっての巡り合いのなかで、新しい発見があれば幸い。