▼無量山 宝蔵寺「白歳 生誕三百年」の見開き御朱印です。(浄土宗・京都市中京区裏寺町)
2019年は、伊藤若冲の弟「白歳」の生誕300年を記念しての見開き御朱印だそうです。
それにしても「つらいつらい 花も紅葉も なきぞよき」とは!?
ワタシも満開の桜の木の下を、天高く馬肥ゆる秋の紅葉を横目に仕事場に・・。そんな多忙な時期だった頃「花も紅葉も なきぞよき」と思うどころか、嵐になればイイと、意地悪な気持ちを抱いた時もありました。
「白歳」の歌の意味は少し違うかもしれませんが、当たらずといえども遠からず、の「つらいつらい」です。
▼同寺の朱印帳
▼いただいた散華。
▼朱印受付にはこの写真以外にもたくさんのサンプルが並んでいて、何が何だかわからない万国博覧会状態。
で、適当にお願いしたのが上に掲載の御朱印3種です。
「髑髏図」の御朱印はWEB上で見飽きていますのでスルーでした。
朱印帳を含め、納めた金額は忘れました。いや正確には忘れたい金額でした。
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ブームで人気の御朱印となり、インパクトと種類の多さは、その寺社の実際の姿とは必ずしも一致しないことは心得ています。
▼宝蔵寺のある裏寺町は、寺町の裏というより河原町通りの裏です。
場所柄小さな寺であることは事前に理解できていましたが、でも本当に「ここ?」と疑いたくなるほど小さな寺です。
▼自身が勝手に描いたものとはいえ、御朱印人気の賑々しさをイメージしていると、そのギャップは大きく、山門さえも気づかず通り過ぎてしまいます。しかし、朱印の案内は通り沿いの山門に英文も含め明確に貼り出されています。
そもそも伊藤若冲、ワタシが経験した美術や日本史の教科書に、その名は一文字もありませんでした。若冲に陽の目があたり始めたのは比較的新しく、20年ほど前の頃からでしょうか?
その後の展覧会などで爆発的なブームを起こしています。TVや雑誌などマスコミに取り上げられる事が多くなり、同時にここ宝蔵寺も御朱印ブームと共に「若冲ブーム」を一緒に歩んできたイメージです。ワタシの場合は、スーパーリアルな若冲の絵は当初アレルギーを起こしました。
しかし、アレルギーもマスコミという妙薬により完治しています。
「治療」というより「洗脳」というのが正しいかもしれません。
これでもかという情報攻勢に教化されること、逆らいきれません。
若冲アレルギーから解放されるどころか、その魅力の理解者になってしまっています。
恐ろしいことにマスコミは誰を、何を、何処に、どのように導くべきか、そのコントロールは熟知しているようです。今更ですが・・・。
▼ともあれ伊藤家の菩提寺で親族の墓は若冲が建立したもののようですが、若冲自身の墓は他の寺にあります。
▼訪れた3月のせいでしょうか「花も紅葉も なきぞよき」というような雰囲気はなく、裏寺町の寺の境内は静かです。御朱印を求めるらしき参拝者とのすれ違いも一人の女性だけでした。2019年、どうやら若冲ともどもこの寺の御朱印も爆発的ブームは去り、落ち着いた人気にソフトランディングしているようです。それでも御朱印受付の寺務所内には3人の女性。そのうちのお二人は、筆を手に紙に向かってヒタスラ奮闘中でした。
彼女たちの頭にも「花も紅葉も なきぞよき」という言葉が掠めているかもしれません。