於岩稲荷田宮神社は鉄砲洲稲荷神社が兼務しています。
この神社の御朱印をいただくには、少し離れた場所に鎮座する鉄砲洲稲荷神社まで、汗をかいて歩きましょう。ゴクローさま!
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あらまぁ、ついこの前まで暑い話題を書いていたのに、急に涼しくなっちゃったわねぇ。
コキ使われていたクーラーも、少し遅い「薮入り」。
でも、きっと数日で、またフル回転の丁稚に戻らなきゃならないでしょうね!
-------浴衣を着て縁日に出かける。通りを外れ、横町の縁台で「怪談のたぐいの話」を聞く。子供だった昭和10年代、ほかに「涼しくなる方法がなかったのだ」--------
数日前の読売新聞編集手帳に作家小林信彦の言葉が引用されてた。戦前の話だ。
戦後も高度経済成長以前はクーラーなんてものは、普通のリーマンのどの家にもなかった。それでも都会、田舎に限らず夏は無事、楽しく過ごせてきたようだ。
ウチワと縁台、扇風機があれば上等だったらしい。
翻って現在の夏は、そんな悠長なことを言ってられない。
今年もTVで高温注意報が出っぱなしだ。NHKでは熱中症予防に「クーラーを適切に使いましょう」なんて、しきりとアナウンスされる。
「外から帰ったら手を洗いましょう」的な、情けないお言葉だが、注意されても熱中症で何人も亡くなっている。その半数以上は高齢者らしいから、幼稚園児に言うような言葉も、しつこくアナウンスしなければならない。
このアナウンスを聞くたびに、ワシは、あと一言欲しいと思っている。「クーラーのない人はテキトーに団扇、扇風機を使ってください」
NHKは日本全国民がクーラーを備えている前提でのアナウンスだ。
NHKがオカシーのは疑いのない事だが、地球がおかしくなっているのか、人間がおかしくなっているのかは判断もつかない。おそらく両方ともオカシクなっているに違いない。
一世代後、30年後くらいにはどんなアナウンスが流れることになるのか見当もつかない。
怪談話どころか、クーラーも涼しくなれるシロモノではなくなっているかもしれないな。稲川淳二も、とっくにこの世の人ではなくなっているだろうし・・・。
高度経済成長時代に3Cと言われたうちの一つの1C、クーラーが普及する前には怪談映画がたくさん作られていた。四谷怪談や化猫ものなどは、いくつも作られている。やはり涼しさ、背筋がゾッとするものが求められたのか?
クーラーが普及してからは、そんな映画制作はトントご無沙汰のようだ。
陳腐でグロい怪談映画はなくなったが、ホラー映画は人気で続いている。涼しさより、怖いもの見たさだろうな!?
怪談映画など見なくとも自宅のクーラーと、ホラーDVDでゾクゾクッとできる。
そうだ、最後の怪談らしい映画は「嗤う伊右衛門」だろうか?確かTVで見たな!
怪談もホラーもあまり興味ないから語れるものはない!
あらっ、もうひとつ見てたわね!「SAW」だ。ホラーというか、目背けたくなるグロだね。
集印者が怪談ものに触れるのは「於岩稲荷」だ。
もっとも於岩は物語の四谷怪談に題材として使われただけで、作中の人物像とは異なるが、ドラマや映画、舞台などで四谷怪談が取り上げられる時は、必ずそのスタッフやキャストが四谷の「於岩稲荷」か、巣鴨の於岩さんの墓にお許しを得にお参りに行くのがナラワシのようだ。祟りはカンベンしてほしいからねぇ?
しかし、この「於岩稲荷」は相当ややこしい。おバカが理解するのにはメンドーだ。
まず、怪談の於岩さんと実在の於岩さんがイコールと勘違いされていることも多い。
物語は民谷姓で実在は田宮姓。物語は雑司が谷の四谷町。於岩さんの墓は巣鴨。よく知られている於岩稲荷は新宿区四谷の田宮神社。その本社は中央区新川の田宮神社。
さらに混乱に拍車をかけるのは四谷には神社の前に、商売熱心で小綺麗な寺がある。ここも於岩さんを祀っている。例によって縁切り・縁結びを謳っている。
どこも好きにしてヨッ!
於岩さんは困惑し苦笑い、伊右衛門はアザ嗤っている
に違いない。
そんな四谷は意味不明な寺のおかげか、御朱印収集人のおかげか、人も多く訪れ、幟や案内などがさらに賑やかさを増し、観光地的な様相を呈している。訪れる人は必ずこの寺と神社の二つに手をあわせるようだが、その明るい佇まいに、ゾッとする話はどこかに飛んで行ってしまい、忘れてしまうようだ。
ところが、四谷「於岩稲荷田宮神社」の本社である新川の田宮神社を訪れる人は少ない。すっかり忘れられたような存在になっている。明治初期に四谷から新川に遷座して、四谷はここの飛地境内神社らしいから、もう少しというか、四谷と同じように多くの参拝者がいても良さそうなものだ。
当時は神社前に茶屋もあり、役者や花柳界の参詣者で賑わったようであるが、今は全くその面影はない。当時の寄進者の名が境内にちらほら確認できるだけだ。
全くシーンと静かで、少し荒れ気味の境内は、物語の於岩さんには相応しいかもしれない。
当たり前にオープンな神社だから、夏も薄暗くなってから、四谷怪談の於岩さんを偲び、いや思い浮かべながら訪れれば、暑さも一時忘れられるかもしれない。
もちろん、ワシは暑い夏は好きで、涼しくもなりたくないから明るい昼間に訪問!
おっかなビックリ、ヘッピリ腰で!!!!
参道手前の社標と扁額とでは文字順が違う。どっちなんだ?!
▼鉄砲洲稲荷神社の様子