中央墨書きは「大白衣観音」。
「建立八十周年」のスタンプも押されています。
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▼高崎観音は観音山と呼ばれる山とも言えないほどの高台に建ちます。
とは言え標高190mほどの丘陵に、
高さ42mほどある菩薩像が建ちますので
遠くからでも見える高崎のランドマークの一つでしょう。
車で山を駆け上がり観音像が見えてくるものの有料駐車場しか見つかりません。
滞在時間1時間ほどの予定なのに500円は高い!
と思いつつも土地勘のない者には他に方法が見つかりません。
▼観音サマの手前で500円出すことにします。
慈悲深い観音サマに無料駐車場の設置をお願いしたいところですが、
元々は観音山一帯をレジャーランドにしようという計画だったそうですから、
飲食店にしろ、観音サマ、駐車場など金を使っていただかなければ「お山」が存続できないかもしれません。
かつての高度経済成長の時代には遊園地が運営されていたそうですが、あえなく2003年に閉園されています。
東京の「豊島園」でさえ閉園を余儀なくされている中、
地方の中途半端な遊園地は悉く同じ運命を辿るのかもしれません。
高度経済成長期には重厚長大がもてはやされたのですが、
ここ高崎の巨大な「白衣観音」は実業家による1936年の建立ですので戦前になり、
高度経済成長期とは関係ありません。
そして鎌倉中期に創建されたと伝わる慈眼院は
1941年に高野山からここへ移転してきました。
ということで2016年にいただいた御朱印は「建立80周年」になるわけですか?
奈良や鎌倉などの全国各地の大仏は阿弥陀如来や釈迦如来などが多いのですが、
関東で露座の巨大像を思い浮かべると、
ここ高崎を含め、東京湾観音、大船観音、大谷平和観音など、観音サマの数も多くあります。
あの世界一高いとされている120mある牛久大仏は、浄土真宗ですので阿弥陀仏です。
見上げるようなあまりに大きい仏像は、どうしても観光的イメージが先に立ち、
その大きさに比例して本来の仏像の意義が薄められていくように感じるのはワタシだけかもしれません?
バブル後は「重厚長大から軽薄短小の時代へ」と言われたことがあります。
しかし世界では現在も世界一高い建築物、世界一長い橋などが今だ競われています。
「軽薄短小」の価値をも求めるようになるということで、
当時はそんな言葉も聞かなかった「ナノ」という小さな世界が
科学技術と社会を大きく変えるようです。
そんな難しい科学の話ではなくとも、薄くて軽い「軽薄」なスマホやTV などは身近なものになっています。
軽いモノはより軽く、小さいモノはより小さく!
そして大きなモノはより大きく、長いモノはより長くと
人間は両極端に価値を見出し、ひたすらその究極の先端を目指すようです。
『周りの環境は心の状態によって変わる。心が暗いと何を見ても楽しくない。静かで落ち着いた環境にいれば、心も自然と穏やかになる。』
弘法大師の言葉です。
▼空海はここにも立て篭り人々に説いていますが
確かに大きな像も、真夏に開く花も、
『心が暗いと何を見ても楽しくない』ようです。
みなさんが楽しく観音山を訪問出来る事を望みます。