▼九品山 唯在念佛院 浄真寺の御朱印です。(浄土宗・東京都世田谷区奥沢七丁目)
中央の朱印は9体の阿弥陀像と「東京 奥澤 九品佛 開山 珂碩上人 霊場」とあります。
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▼最寄りの駅名は東急大井町線「九品仏駅」で「くほんぶつ」と読みます。
土地勘のない人は正確には読めないかもしれません。
また読めたとしても「九品」を説明できる人は少ないでしょう。
また「寺」の文字を使用する駅名はたくさんありますが、「仏」の文字がつく駅名は珍しいかもしれません。
東京では京成線の「鎌ヶ谷大仏」しか思い当たりません。
▼駅改札前の通りは商店街になっています。
▼寺は踏切を渡って左手に進むと直ぐに参道が見えてきます。
▼1678年創建の浄真寺は「江戸名所図会」にも紹介されていて、現在の境内の諸堂は当時とほとんど変わらない配置となっています。
押絵の参道と境内には茶店や土産物屋でしょうか、たくさんの小さな店が並んでいます。寺の周りは何も描かれていません。田畑か湿地、野原だったのでしょう。何しろ江戸の外れ「奥澤村」ですから・・。
度々掲載する「江戸名所図会」ですが、それにしても当時は人の目線からしか描けない風景を、航空写真のような俯瞰図にし、そして行ってみたくなるような描き方には感心させられます。
まさに観光案内図で、現在でも充分通用する部分もあります。
▼参道先の「総門」です。
「般舟場」と書かれた額は「行道念仏して現前に諸仏を見奉る」との説明板がありましたが、その説明さえ、さらに説明が欲しいところです。
▼総門を潜って左手の「閻魔堂」には閻魔さんと奪衣婆さんが揃っています。
▼奪衣婆はこの寺では「葬頭河婆(そうずかばあ)」と表記されています。
▼文字ばかり目立つこちらは「東門」です。
▼東門の正面には「山門(仁王門)」が見えます。訪問は10月でしたが、まだまだ緑の多いオアシスのような境内は、世田谷の住宅街の一画とは信じられないほどの空間を形成していました。
▼山門扁額は最初の一文字が読めません。
▼「龍護殿」は本堂です。
▼本堂内に安置されていたアフロヘアの「五劫思惟像」です。
本堂の西側に上品堂・中品堂・下品堂の三堂が並んでいます。
それぞれ丈六の阿弥陀像が3体ずつ、合わせて9体が安置されています。
そして9体の手の指の形がそれぞれ異なっていて9種類あります。
それが浄真寺の「九品仏」です。
▼指の形を「印相」と言い、意味的には近いかも知れませんが、ハンコ・印鑑の印相とは違います。
忍者がドロンドロンと消える時、指を組むのも同じ「印」でしょうね?!
▼浄真寺HPにある阿弥陀如来は両手とも親指と人差し指を結んでいますので「上品中生」と呼ぶのでしょう。九品の阿弥陀如来 | 九品仏浄真寺 | 九品山 唯在念佛院 浄真寺
▼上品堂の阿弥陀如来です。大日如来は「智拳印」という独特の手指の形を結んでいて印象的ですが、阿弥陀さまは9種類の結び方をされていて覚えられるものではありません。また「施無畏印」なんていう結び方もあって「印」の世界は訳わかりません。そして「印」より印象的なのは9体の阿弥陀様の頭髪がすべて青く、瑠璃色の「青瑠璃螺髪」でした。鮮やかな青い螺髪に目が奪われ「印」の区別確認を忘れてしまいました。青い螺髪は他の寺では見た覚えがありません。さて「上品(じょうぼん)」「下品(げぼん)」はワタシたちが普通に読み、日常に使う言葉「じょうひん」「げひん」の語源でもあります!
浄真寺の九品仏に対峙した時、自分がどの位置にあるかを考えさせられるかもしれません!
宗教的な意味は少し違いますでしょうが・・。