▼青龍山 金蓮寺の御朱印です。(曹洞宗・愛知県西尾市吉良町)
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▼金蓮寺に最寄駅は見当たりません。名鉄西尾線「吉良吉田駅」が一番近そうですが、1.6kmほどあります。
愛知県の国宝・重要文化財の数は特に多くはありません。
建物の国宝は3つだけ。
▼そして、ここ「金蓮寺 弥陀堂」です。
静かです。
寺の周囲はなんの変哲も無い住宅が点在する、のどかな田園地帯。片田舎です。
弥陀堂は丘陵先端の森を背に、訪問客を待つように佇んでいます。
時々寺の前の道を行く車の音と、背後の木々から聞こえる夏の名残りの蝉の鳴き声が、余計静かさを感じさせられます。
同じ県内でも、地の利と他のテーマパークが揃っている犬山の2つの国宝に比べると、周囲も寺自体も観光的な様相は一切ありません。
▼そんなことはなく、小さいながら堂々とした孤高の国宝です。
近年改修されたとはいえ、愛知県最古の木造建築。鎌倉時代中期の建立とか。
よくぞ800年の時を無事経て、残ってくれたものです。
多くの人には知れずに、興味の対象にもならず、大して心がける事もされず、もしくは、いつも当たり前にそこにあるお堂だったのでしょう。
だからこそ現代まで生き続けて、その姿を維持できたのかもしれません?
人が無関心であることは、ある側面で持続につながるかもしれない。
誰にも、時代にも大きく干渉されず、ひっそりと、地元の信者たちと共に時を紡いできた、と勝手に解釈することにします。
それにしても、国宝にしてはまったく無防備。裸で畑の中に置かれているようなものです。
お堂の裏の数ヶ所に人感センサーらしきものの他、防犯・防火用の特別な設備は見当たりません。
寺はかなりオープンな佇まいで、夜間もどこからでも近寄る事が出来そうで、心無い人間のイタズラなどを簡単に許してしまいそうです。
国宝の扱いもそれぞれですが、ここは仏たちの力よって守られて来たかもしれません。
御朱印をいただくため本堂横の庫裏に声をかけました。
住職らしき方の声が、本堂側で待つようにとのこと。
住職は脚が少し不自由なのか、庫裏から小さな買物カートのようなものに掴まるように押しながら、本堂受付に現れました。
御朱印ごときで不自由な脚で移動いただくのに申し訳ない気持ちになりました。
そして、今や集印者の誰もが知っている御朱印を揮毫いただきました。
筆先はしっかりしていましたが、住職は、かなり高齢。
大変失礼な想像になりますが、この先、いつまでも今の住職を続ける事は出来ないはずです。
だとすると、この「国宝み多"堂」と記された味わいのある御朱印は、現住職がご健在の間だけ、いただけるものになってしまうかもしれません。
失礼やら、寂しいやら、感謝やらと複雑な思いで国宝の寺を後にしました。