全国に数多ある観音霊場は、御朱印ブームによりその活動が蘇った霊場も多々あるでしょう。
根拠はありませんが「安房国札三十四所観音霊場」も、その一つのように感じています。
何も知らない頃は「アワコクサツ」と読んで恥じていますが、現在でも正確に読める人は少ないかもしれません。
▼「東国百ヶ寺」の御朱印。
2016年6月12日の訪問では境内で人っ子一人、出会いませんでした。
御朱印は日付のない書置きが分かりやすい場所に置いてありました。
寺自体は現在でも同じような状況でしょうか?
ネットでは「小松寺御朱印」で画像検索してみると、まるで学生たちの少女向けイラストコンテストのような様相を呈しています。
もちろん、それらの御朱印はここ3、4年の日付けになっていますので、きっと寺の様子も変化しているのでしょう。
小松寺が現在のカラーイラスト御朱印に変化していった過程が、今回記事冒頭に掲載した1体目の御朱印から何となく予想できます。
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▼「小松寺」は房総半島のほぼ南端にあります。
訪問するには電車でも、車でも時間とお金が必要です。
在京の人間でも何度も訪問できる距離ではありません。
それでも昨今のイラスト御朱印収集者は、そんなカベはモノともせず飛び越え、小松寺を訪問しているようです。
もっとも最近は競合が多くて、どこもその人気を新手に持って行かれているように感じますが・・・。
パイオニアの定めかもしれません。
人を批判するような言葉を出せる立場ではありません。
敢えてイラストを求めないだけで、御朱印を収集するという行動はワタシも違いはないでしょう。
▼その証拠は、ボンビーなせいで高速も使えず、いつものように下道を延々と只管 小松寺目指して車移動するワタシがいます。
それにしてもさすが南房総!
館山に近い道は、房総のイメージ通りの開放的な南国気分を味わわせてくれます。
▼しかし小松寺があるのは海沿いから離れた山中にあります。
千葉県に限らず、島国日本はわずかな時間移動で海あり、山ありの自然を交互に見せてくれます。
▼寺の山号は「ダントクサン」なのか「ダンドクセン」なのか、読みは未だ分かっていません。間違うことが多いので「読み」はいつも気になります。
▼新緑が陽の光をモリモリと吸収し、より深い緑の葉をワサワサと紡ぎだし、本堂は埋もれ、押しつぶされそうです。
1300年の歴史とともに静謐な時間が流れます。
▼グリーンに溺れている薬師堂もサイレント!
▼腰掛ける参拝者を待つベンチは寂しげですが、いい時期に訪問できました。
この写真に多くの参拝者、御朱印収集者を置いたら寺のイメージは全く異なるはずでしょう。
参拝者、訪問者の姿も見えず、寺の僧侶も受付も見えない空間も悪くはないと思える2016年の小松寺でした。
房総半島の西側、東京湾沿いには「観光目的」と感じられる仏閣がいくつかあります。
その目的数値を達成できているかどうかは、相手が宗教法人では知る由もありません。
たとえば「東京湾観音」「崖観音」などが思い浮かびますが、両者を一緒に並べたら拝観料を取らない「崖観音」の大福寺はゴフマンかもしれません。
▼そんな詳細事情は何も分からない中では、この寺をどう理解したらイイのでしょう?
所在地は館山市になる「萬徳寺」です。
500円の拝観料が必要ですので、やはり観光寺という位置になるのでしょう。
▼野ざらしですが、体長16m、高さ3.75m、重さは30t の釈迦涅槃仏は圧巻です。
▼足の裏には微妙な文様がありますが、意味は分かりません。
▼展望台からは遠方に海も広がっていました。
拝観料500円の価値はこの展望を含めても少し高く感じました。