▼杉山神社の御朱印です。(神奈川県横浜市保土ケ谷区星川一丁目)
「武蔵国星川郷」という地名は900年頃の平安時代には既に使われていたそうです。
杉山神社もその名称が文献に最初に現れるのも平安時代だそうです。
御朱印の押されている手書きイラストっぽいグリーンの神紋は「三本杉」。
神社がかつては杉や松の木に覆われていたことを想像させられます。
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▼星川 杉山神社は横浜の市街地が臨める高台にあります。
杉山神社はここのほかに横浜市、川崎市、町田市などの地域に数多くあります。
google mapで検索するとゾロゾロ赤いマークが出てきます。
それらを区別するために通称に「星川」を冠したほうが分かりやすいのでしょう。
「延喜式」に記載されてる杉山神社が、数多くある中から特定するのに決定的な要素はなさそうですが、しかしその後の文献などから「星川 杉山神社」が式内社ではないかと有力視されています。
杉山神社の鎮座地はロマンを感じさせる、メルヘンなネーミングの「星川」という地域です。
同じ「星」の文字が付く地名でも、全国展開するチェーン店のような「星ヶ丘」というあまり聞きたくない名称もあります。
杉山神社から少し離れていますが、川崎の王禅寺の山号は「星宿山」です。
残念ながら音読みで「せいしゅくざん」ですが、「星の宿」とか「星降る宿」などと、名付けられた由来のいろいろを想像させられる「星」です。
この地にはそんな太古から人々が住み着き、夜には清らかな流れに星の光が映し出される川があり、振り返れば陽の届かないような深い森に覆われた小高い山がある。
そこに大神の存在を意識して、畏怖とともに明日の無事を祈る。
杉山神社の位置は、そんな太古の人々の姿が容易に想像できる地域でもあります。
星川をはじめ、星野や星山など、古くから地名に「星」の文字がついている地域には遺跡が多いそうです。
また、さまざまな自然災害にも強い結果が残っているそうです。
太古の人たちは「星」に対しては、地図やコンパスの代わりにする以前に何か特別な意識を持っていたかもしれません。
長野県の白樺湖の北には国の史跡で「星糞峠」があり、黒曜石原産地遺跡となっています。縄文時代に使われた良質な石器の元となる黒曜石の採集地だったそうです。
やはり何か大切な場所に「星」とい表現が使われているように感じます。
ちなみに現在地図で探すと「星糞峠」は「星くずの里 たかやま」で見つかります。
「くそ」が「くず」になっただけで大きな違いはないと思うものの「星くず」となるとイメージはいきなり最上級に格上げされます。
▼縄文人の末裔たちの家族が、太古と変わらず神に祈る姿はほのぼのとして、日本人の祈りの原点のように感じます。
たとえ七五三の参拝でも、縁結び、合格祈願などの願い事ばかりに変化しても、縄文もさらに遡る太古からの連続には違いありません。
▼境内の授与所周辺はホッとするような癒し空間が作られています。
神社の上等なセンスが窺われました。
帰り際、車の荷物を整理していると、通りかかった神職さんの「どうぞ、お気をつけて!」の一言。
神社のセンスは人間のセンスそのものでしょう。
「星川」の研ぎ澄まされた感覚は、縄文人も持っていたかもしれません。