▼性海山 妙善寺(ハズ観音・かぼちゃ寺)の御朱印です。
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ハロウインは収穫祭なのだろうが、カボチャとの関係は知らない。
この国のカボチャは冬至にいただき、中風よけのご利益を願う。
冬至の日には柚子湯にも入る。すべて健康を願っての昔からの行事・習慣だ。
その冬至間近の京都・矢田寺はカボチャで溢れていた。
12月23日には、無病息災を願って「かぼちゃ供養」が行われたそうだ。
「かぼちゃ炊き」は、かぼちゃの煮物のことなのだろう。
なにしろ当日は1,000名分のかぼちゃの煮物が用意され、長蛇の列ができるとか。
ちなみに2019年の冬至は12月22日。
京都は寺社が多い。様々な行事が、いつもどこかで行なわれている感じだ。
寺町通りに面した狭い境内の寺、近くの蛸薬師とともに、大きな観光寺より、こういう小さな寺が京都を一番感じさせてくれる。
ところ、じかん、変わります。
▼室町時代、まだカボチャが日本で食べられていなかった頃、この浜にプカプカと幾つものカボチャが浮かび流れてきたそうだ。
寺に伝わる話だが、それからカボチャを栽培するようになり、食べ始めたというカボチャ発祥の地だそうだ。ハズ観音の山門は、この浜と向き合っている。
▼松の木々と砂地が、いかにも海辺の寺を感じさせてくれる。
この日の境内にカボチャは一つも見られなかった。「かぼちゃ茶」は振舞われていた。正直、無味無臭。
しかし、この寺はやはりカボチャの真打ちだ。
「かぼちゃサミット」なるものが開催され、全国からカボチャが集まってくるそうだ。
冬至にはかぼちゃしるこが振るまわれ、かぼちゃ輪くぐり、かぼちゃお練りなどが毎年行なわれている。
カボチャ、さまさまだ。
それにしてもカボチャは、洋の東西で他の野菜に比べて超人気者だ。
草間彌生は作品のモチーフにしている。小豆島には「どてかぼちゃ大会」がある。
さらに全国には「かぼちゃ音頭」「かぼちゃ踊り」「かぼちゃの歌」「かぼちゃカクテル」「パンプキンラテ」何でもありだ。
シンデレラの馬車のように童話、絵本でも引っ張りダコ!
「カボチャのチャチャチャ」という曲もあるようだ。
きっと、憎めない、愛嬌のある野菜のキングなのだ。
どう料理しても沢山は食べられない野菜だが、少なくとも野菜なのか何なのか分からなくなってしまった、いつもスーパーにあるモヤシのように蔑まされることなく、より美味しい、絵になる、さまざまな題材にもなるカボチャだわねぇ!
かぼちゃ寺では御朱印とともに山主の俳句を記した用紙をいただける。
達筆で読みとることが難しい箇所もあるが「み仏、此岸、彼岸、彼岸花」の四つの言葉が読めれば、句も何とか理解できそうだ。
振り返ってみれば、カタカナの観音様名は「マリア観音」と、ここ「ハズ観音」だけのものかもしれない。
「幡豆郡」を「はずぐん」とは誰も読めない。
当初は「幡豆観音」だったことだろうが、より親しみやすい「ハズ」にしたかもしれない。いや、きっとその幡豆だわっ!