▼阿育王山 阿弥陀寺の御朱印(浄土宗・神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤)
「皇女和宮香華院 黒本尊 念仏道場」と墨書きされていました。
いつものようにまったく事前知識なしの訪問。
訪問して初めて知ったことばかり。
されど和宮も黒本尊も人に説明できるほどの知識なし。
琵琶名人の住職のことなど、この寺は事前知識を持って訪問すべきでした。
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コロナ禍の中、都内から出て神奈川、山梨に出かけました。
東京都知事は、
「夏休み盆休みも今年は特別、行楽や観光、帰省も控えましょう」と号令していました。
その言葉は重々理解できていました。
多くの良識ある人々は彼女の言葉に共感し、従順であるでしょう。
これまではワタシもそうでしたので、この4月以降の休日はほとんど Stay Home でした。
しかし、そこには常に二つの異なる思いがありました。
もともと有名寺社でもなく、イラスト御朱印授与でもない、何でもない小さな寺院、神社への訪問は普段から「三密」とは対極にあります。
そしてマスクをして、会話は控え、会食はせず、物に触れた後は手洗いを欠かさないようにすれば、感染症は極端に恐れる事でもないようにも思います。
したがって単独行動の外出も旅行もそんなルール内ならば問題ないと思っていました。
しかし外出すればコンビニや飲食店を利用することになります。
最低限の人との接触は避けられません。
弁当と飲物を持参で出かければ、店舗を利用しないで済むかもしれません。
そこまでして寺社に参拝する必要性はないかもしれません。
国も感染拡大を抑えながら、経済の動きも取り戻していこうとしています。
東京を外したものの、Go to キャンペーンに踏み切ったのもその表れでしょう。
矛盾する2つの目的に向かわなければならないのです。
人と物、人と人、心と心、何もかもを分断し、人の身体と心を蝕んでしまう感染症の早期終息を願うばかりですが、最強クラスのウイルスも少しでも長く生きようとする自然界の生き物です。
同じ生き物でも人間が今すぐ仲良く共生できる相手ではありません。
人間の英知とウイルスの戦いは長引きそうですが、いつかは人が治める事でしょう。
それまでの長い時間は居心地の悪い相手と対峙し続けなければなりません。
終息後の人間の社会生活は良きにつけ、悪しきにつけコロナ前とは様々に大きく変化しているはずです。
御朱印についても現在は中止、郵送、書置きなど様々な方法がとられています。
御朱印のあり方もコロナ前には戻らないかもしれません。
それでも、いつかまた皆さんがこれまでと変わらぬ楽しい御朱印の旅をできますように!
願うばかりです。
▼阿弥陀寺は住所は「塔之沢」、最寄駅も箱根登山鉄道の「塔ノ沢駅」ですが、私的な感覚では「箱根湯本」です。
▼数多くある箱根の温泉の中で、須雲川沿に展開される玄関口の湯本が一番温泉街らしさを持っているように思います。
▼湯本の土産物屋が並ぶ道の一本山側の道を進むと寺の参道が現れます。
寺までは塔ノ沢から徒歩ですと15分ほど、ここからですと徒歩30分ほどの距離です。
しかし、この参道を車で登ります。
途中の1車線の細い山道は思ったほど細くなく、急坂はあるもの案外楽に駐車場まで到達します。
駐車場からは少しの石段を歩みます。
▼この石段を下から30分登り続けるには少し勇気が必要のようです。
▼参道途中に観音像などいくつもの仏像が現れます。
▼三味線、民謡関連の記念碑でしょうか? わかりません。
▼寺の境内に入ったのでしょうか、本堂らしき建物が見えてきました。
▼本堂までの間にも様々な仏像たちが迎えてくれます。
「あじさい寺」とも呼ばれているので、季節になれば花見の訪問者で賑わうのでしょう。
▼可愛らしい道祖神も並んでいます。
「阿弥陀寺」というので浄土宗のこの寺は江戸時代初期の創建で、東京芝の増上寺の別院という位置にもあるそうです。
▼本堂は小田原のかつての庄屋の建物を移築しています。築300年とか。
▼皇女和宮ゆかりの寺とは知らずに訪問していますので、写真左下の葵紋や「香華院」に気づかずシャッターを押してました。
ほとんど後で知ったことですが「香華院」というのも院号ではなく、文字のまんまで「仏前に香や花を供える役割を担う寺院」のことで香華所とも言うそうです。
▼大きな扁額の文字は読み取れません。「・光阿弥陀」?
▼「轉法輪」と言うそうですが、マニ車や百万遍の大数珠の変形、進化形でしょう。
家茂に嫁いだ皇女和宮は療養先の塔ノ沢の宿で32歳にして亡くなっています。
そし阿弥陀寺は最初に弔いをし、その後も和宮を祀っている「香華院」なのです。
本堂に上がると先客1組の御朱印を記帳中の住職と少し話をさせてもらいました。
住職の琵琶演奏姿の写真や表彰状、何本もある琵琶を目の前にして、住職が琵琶の名手であることや、時々琵琶の弾き語りの会なども催されている事など、その場でやっと知ったので、少し話が噛み合わずにギクシャク。
しかし、
「境内の草をむしっている時も、こうして御朱印を記入している時も、何をしていても楽しい」
と言われた言葉に、80歳近い住職の生き方を垣間見ることができました。
▼本堂本尊は、これもかつては東京両国の回向院の旧本尊を譲り受けたの阿弥陀三尊像だそうです。
▼本堂横の道をさらに山中に入れば奥の院に続くそうです。
▼深い谷が山寺であることを思い起こさせられます。
▼「これから用事があるので・・」と言われた住職は本堂の扉を閉められました。
一歩遅かったら御朱印もいただけなかったようです。
過去に3度は宿泊している箱根湯本ですが、機会があれば紫陽花の時期にやってきて、
いくらかの知識とともに阿弥陀寺を再訪したいものです。
▼箱根湯本ではこちらも参拝しました。
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