東京23区内にも山がモコモコ生えている。ちょっとヒネリ出してみても紅葉山、箱根山、大倉山、御殿山(山じゃなく地名か?)と出てくるが、一番高いのはここ愛宕山。海抜26mだそうだ。となると階段のとっつきからの高さは知れたもの、大したことはないぞ。その名も「出世の石段」今さら出世なんて言葉はこっぱずかしいが、登り始めるとするか! んっ? 下で意気込んだ感じとチョットー、違うじゃん、急じゃん、まだ石段中間地点じゃん、シンドイぞ! 回り込んでいる女坂にしておけばよかった。ここは、格好のトレーニング場所として駆け上がっている中学生や高校生に任すべきで、その年代を遥か彼方においた身はトレーニングの邪魔をすべきでなかった。しっかり後悔した。何事もタカをくくってはいけない。1月だったから汗は出ない。だが途中、振り向いて下を見た、冷や汗が出た。戻りは、やはり女坂にしよう!ここを降りてみようなんて間違っても思ってはいけない。出世も下るかもしれん。出世などどうでも良いが、これ以上下ってはいけない。まてまて「出世の石段」と呼ばれているだけで、登ればご利益あり、とは言ってないな。グダグダとオッカナびっくりな思いが駆け巡る。
登りきった。イヤハヤ! ここにも軽い足どりで登ってきた中型のワンコがいた。わしを見ても笑わなかった。「フン!」という顔だった。
そこそこ生きてきた人生、人に嫌われても、小動物には好かれてきた。その思いも今日から見直しだ。
明治前後まで、ここから東京中が見渡せたそうだ。現在は眺望は少ない。でも出世はともかく、石段を上ればステキな都会のオアシスが待っているよ。