昔、新宿5丁目に数年間住んでいました。
現在の表通りは高層建築ばかりで一見華やか。
しかし一歩路地に入ると瀟洒な住宅、小さなマンションはできたが、今でも昔と大きな変化のない完璧な住宅街です。
アパート、コーポ、一軒家が、昔と全く変わらない小さな路地を挟んで、ひしめき合っています。
好きな街でした。
現在ほど神社に特別な興味は抱いていなかった当時、
ある冬の夜、ある人と花園神社の並びにある地下の飲み屋でサントリーホワイトのボトルを囲んでいた。
安い酒だけど、当時は「ホワイト」で十分。
たいしてアルコールに強くもない2人でボトル半分開けたほどで、ワタシはもうかなり酔いが回っていた。
すっかり夜も更けた頃、外へ出た。雪だった。
フラフラ雪を踏みしめ花園神社境内へ入る。
参拝もしなかった。
参道で愚かにも二人で雪合戦をして大笑いした。いい年した大人二人の手は雪玉を投げあっていた。まったくタワイナイ!
その人の気持ちがわからないほど愚かではなかった。しかし、その後何事も起こらなく時は過ぎた。
遠くなった昔の話です。
時が過ぎたある正月、ある人と明治神宮参道を歩いていた。
拝殿で合わせた手、帰りの参道では二人の手は繋がっていた。ワタシの手は少し汗ばんでいた、冬なのに。
1年も経過しないうちに、どちらからともなく連絡はなくなっていた。
遠くなった昔の話ね。
さらに時が過ぎた。近所の熊野神社、当時は神社のバックに高層建築はなかった参道を、ある人と拝殿に向かっていた。やはり手をつないでいた。手は汗ばんではいなかった。遠い昔の話だわ。
しかし今は、お互いの相手の首根っこをつかんでいる。
手をつなぐことは少ない。
遠い昔の話にしたい、現在進行形のおとぎ話。