▼祭神が高皇産靈神(タカミムスビノカミ)ということから「むすび石」をいただきました。神社も寺も言葉遊びがお好きなようです。直径1cmほどの「おむすび」です。
▼アニメとのコラボは大成功のようです。
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▼東武線・京成線、二つの「曳舟駅」から歩ける距離の高城神社です。
▼ここ3年ほどの間に御朱印収集者の誰もが知っている神社になっています。
室町時代の創建だそうですので、歴史のある神社であることは確かです。
しかしどうして急に賑やかになったのかわかりません。
アニメとのコラボで御朱印目当て以外にも参拝者が増えたこともあるでしょうが、コラボするちょっと前からも御朱印がビジュアル化されていたように理解しています。
その頃からでしょうか、この神社に参拝者が多くなったのは。
地域性などから見ても、現在のように神社前の細い道路に他地域からの参拝者が大勢行き交うような神社ではありませんでした。
アニメに特別な関心を持たない者にとっては、ここ数年の聖地巡礼者の増加や、この神社のように直接コラボする寺社の増え方に面食らうばかりです。
そういう急に話題となっている寺社に、いち早く訪問してみようという気持ちにはなかなかなれませんが、やっと参拝してみようという気持ちになりました。
訪問日が日曜日だったせいもあるでしょうが、予想通りたくさんの参拝者が入れ替わり立ち替わりやってきていました。
歴史ある寺社が「アニメとコラボ」は、数年前までは「異例」と報道されてきましたが、もうすっかり慣れっこになってしまいました。異例でもなんでもなく、定着したという言葉のほうがピッタリくるようなイメージです。
一方では一般参拝者から、神社の雰囲気をこわすという批判的な声もあるようですが、寺社側、御朱印収集者、アニメ聖地巡礼者がそれぞれの立場でルールとマナーを築き、守っていけば、その文化や繁栄を維持していくうえで、より良い関係となっていくことでしょう。
そんな事から神社には「高木さん」が溢れているものと予想していましたが、溢れているのは「おむすび」でした。
▼ご御朱印や、御朱印帳、そして境内には山盛りの「おむすび」です。
アニメも人気でしょうが、やはり「縁結び」は万人に共通の人気のようです。
▼境内の隅に富士講の碑。明治31年「山玉 向嶋 講社」の文字がはっきり読めます。
この地域には柳島・寺島・牛島という名称がて点在しています。向島は、かつては隅田川西岸から見た「川の向こうの島」として総称で使われていたとも言われています。
そんな向島には花街が存続していて、現在も芸妓数100名以上で花柳界を守っているそうです。
また向島は花柳界とは似ていて異なる側面も見つけることができます。
▼高木神社前の細い道路、鳥居を出たら北方向にそのまま真っ直ぐ進み、大きい通りを2つ横切って、神社からは500mほどのところで、この商店街の入り口に突き当たります。
▼「鳩の街」です。鳩がたくさんいるわけではなく、知らない人にとっては意味不明な名称かもしれません。
▼昼下がりの商店街は閑散という言葉以上に人通りがなく、一見何でもないありふれた下町の商店街です。
しかしこの地はかつては、吉行淳之介や永井荷風のほか、安岡章太郎、三浦朱門、近藤啓太郎、小沢昭一など、一世代前の作家や芸能人たちが多く出入りしたことで知られています。
▼この地を舞台にして荷風は戯曲を、吉行は「原色の街」という小説にしています。
▼「原色の街」の名残りを探しに「鳩の街」の裏通りを歩いてみます。
明らかに一般住宅には必要のない装飾や「R」が施されている古い建物が残っています。「娼家」です。
1958年までにこの地は特殊飲食店街、いわゆる「赤線地帯」でした。
最盛期には娼家は100軒以上、接客する女性の数は300人ほどいたそうです。
かつては東京にいくつもあった「原色の街」は、もうほとんどその姿を見つけることはできません。
掲載のいくつかの写真も神社訪問日より少し前に撮影したもので、建物が現在も残っているかどうかわかりません。
半世紀以上前に建てられたほとんどの建物が老朽化のため取り壊されています。
「原色の街」 の記憶は遠ざかり、スカイツリーの見える街に変わっていくようです。