-----------------------------------------------------------------------------------------------------
▼小布施にやって来ました。小布施は小さな町です。長野県で一番小さな町です。小さいのに観光客であふれています。
小さいから町のイメージづくりがうまく行ったのでしょうか? 温泉町でもないのに人を惹きつけます。歴史はあり、江戸時代には画人や文人が多く訪れているそうです。
「小布施」という耳障りの良さが、隣の須坂市より上品で高級なイメージを抱かさせて人気なのでしょうか?
▼北斎は85歳という超晩年に初めて小布施にやって来て、その後何回も訪れているそうです。そしてこの町にたくさんの作品を残して行ったそうです。
▼名産品の栗はたくさんの店で和菓子や洋菓子として扱われていますが、この店で売られているのは極上マロングラッセ。夕方近くで売り切れでした。
小さな町に観光客が集まるのは、さらに小さな町の中心部。そこに造り酒屋が4軒もあります。小布施の酒はどんなんでしょう?ほかの飲み物は好きですが、日本酒だけは未だ味が、その美味しさがわかりません。
建物内では当然試飲もできるでしょうが遠慮します。
▼その代わりこの店に入ります。小布施の酒も栗も全く関係ないジェラートにします。外は少し肌寒いのですが店内は暖か。抹茶味はイタリアのおニィさんたちにも食べさせたい。
さて、お寺の話にします。町の外れにあります。山の麓の寺です。奈良は明日香村にある寺をイメージさせられました。創建は1472年だそうですから、え〜〜と室町時代? 応仁の乱頃かしら?▼三門の仁王像はコミカルです。
赤い屋根は寺の建物としては魅力は感じませんが、この寺の「売り」は別にあります。
▼温泉かと思い手を差し出したら「ツメタ〜〜イ」、ただの水でした。
▼この寺一番の「売り」がこの本堂内にあります。小布施の町の中心部から少し離れているものの、その「売り」を見に来る観光客も大勢やってきます。
▼その「売り」の案内看板は「葛飾北斎 大鳳凰画」と記されています。
▼では本堂内に入ってみます。
▼どれにしようか? 数字がいっぱい並んでいますが、要は300円です。
そしてここからは撮影禁止。話になりませんのでネットからお借りしました。本当は160年塗り替えも修復も無しですので、もっとしっとりとした深い色合いの画です。「大鳳凰図」は「八方睨みの鳳凰」とも呼ばれるそうです。89歳の北斎画は鳳凰の羽が「神奈川沖浪裏」のように波打っています。
21畳ほどの天井画の下で、寺の方が10分間ほどの説明をしてくれましたが、話の都度、真上の絵を確かめるため、首の良い運動になりました「コキッ!」。
寺側の説明はほとんどが北斎の絵についてで、福島正則と小林一茶の話は付け足しのように説明されて終わりました。
▼そんな哀れな福島正則の霊廟が本堂裏にあります。ほとんどの人が北斎を見て引き返していきました。わずかな説明の通り人気ウスです。▼秀吉の子飼い福島正則は家康の策により広島の50万石の大大名から、信州と越後の2カ所で5万石にも満たない減封とされてしまいます。そんな福島の話はいくらか知っていましたが、小布施のこの寺に眠っているとは知りませんでした。晩年は不運だった戦国武将に手を合わせます。
▼福島正則は寺の「売り」にはなりませんが、こちらも同様のようです。
▼小さな案内板は「蛙合戦の池」と書かれています。季節になると数え切れない蛙がケロケロ!
その様子を見た小林一茶が詠みました「やせがえる まけるな いっさ これにあり」。
▼ここではこのほかにシャッターを押す対象がありません。一茶には気の毒ですが、これでは「売り」になりません。この寺では、画狂人 北斎の人気には、福島正則も一茶もかなわないようです。