白山温泉泊の翌朝、1時間半ほど車を走らせ「那谷寺」へ向かう。
前回記事の平泉寺白山神社同様、白山を信仰し、泰澄による開創。1300年も前のことだ。
開創当初は「岩屋寺」と呼ばれていたが、のちに西国三十三所観音霊場の1番「那智山 青岸渡寺」と、33番「谷汲山 華厳寺」の2文字をとって「那谷寺」としたのは有名。「ナタニ」と読みたいが「ナタデラ」。
一向一揆では焼き尽くされたものの、その後の復興から明治の廃仏毀釈では難を逃れられたとか、よかったじゃないのぉー!
▼自生山 那谷寺の御朱印です。(高野山真言宗・石川県小松市那谷町)
「悲」と「自生山」の文字センス最高!です。
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この寺は周囲を加賀の温泉に囲まれた観光寺だと思って訪れた。
観光賃500円。あちこちにある観覧車に乗った事を思えば安い。
▼山門。観光寺にしては「あれっ?」と思うほど山門は意外と小さい。偉すぎるよりマシだ!
▼山号は自生山。自生という言葉は植物を指して使われる言葉。しかし自ずと生まれる、自ずと生まれ変わると解釈すれば人間に対しても使われても良いかもしれない。山岳信仰は、生まれ変わりの信仰でもあるはずだ。
▼ふり返り木々の間に見える山門は、正面から見るより魅力的。
▼ここでも地蔵さんが迎えてくれる。大きな寺でよく見かける。「護美小僧」と説明されてた。美を護る小僧さん。「ゴミ小僧」では気の毒だからね!
▼金堂華王殿。山門をくぐってすぐ左手にあり、ここで朱印帳を預ける。境内で唯一ハデな建物だ。平成になってからの再建とか。
この寺も外国からの訪問者が目立つ。しかし、日本全国どこにでもいらっしゃるわねぇ!▼本殿に向かって参道をすすむ。気持ち良さマックス。
参道の左右はグリーンの海。
紅葉でも有名な寺だが、初夏のこの時期の緑も悪くない。が、むせかえる!
▼参道を抜けると「何、これっ!?」思わず声が出る。
「奇岩游仙境」の岩壁の一部が目に飛び込む。
下からのこの位置では木々に邪魔され全体像が把握できないが、この寺で一番有名な観光対象となっている名勝指定園だ。
俗っぽい、高いところが好きだから登らずにいられない。ワックワクしてきたわよ!
▼本殿への山門を抜けると岩山、崖が目の前に迫ってくる。
「よ〜〜っし!登るぞぉー!」
▼意気込んでとっつきに着いたものの
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なんと「立入禁止」。景観の維持と事故防止が理由らしい。よく見ると、柔らかそうな岩に削られた階段は角が丸くなっている。
何なんだ、ガッカリ!
「百寺巡礼」の五木寛之は登っていたじゃないか! あぁ、15年前のことか?
一番の観光目玉が眺めるだけで終わりそうだ。
ホントは、かつて修行僧や修験道の人たちがこもって修行したであろう岩山にうがたれている洞穴に入り、白山信仰により、まっ「白」になって生まれ変わり、山盛りの罪業を少しでも洗い流したかったのにザンネン!
▼気を取り直して懸け造りの本殿への階段を登る。
▼段上から振り返る。この景色、秋には・・・
こうなるらしい。寺のHPから借りた画像。ぜひ紅葉の時期にも訪れたいものだが、きっとムリだ。
▼本殿内部はクルッと一周できる。穿たれた岩壁の様子がわかる。
▼本殿を出て岩壁に作られた細い道を進む。
▼三重塔。この寺のほとんどの建物は国指定の重文。
▼展望台に出て、やっと「奇岩游仙境」の全容が目に広がる。
やはりここに登りたかった。諦めきれず、往生際が悪い! しばしニラメッコ!
▼芭蕉も立ち寄り「石山の石より白し秋の風」と詠んだが、脾に刻まれた文字は読めない、判読できない。まぁヨイ!
ということで立入禁止の「奇岩游仙境」に「石山の石よりシラケタ初夏の風」 。
というのは言葉だけ。
白山信仰と深く結びついたこの寺は観光寺とはいえ、混雑もなく静かにそよぐ初夏の風がとっても気持ち良く、どこを歩いても清々しい。
岩窟に入って生まれ変わる事はできなかったが、山門を出る頃には背中に背負った重量級の罪業も一時軽くなったようだ。
もちろん「気のせい」だ。
那谷寺は粟津、片山津、山代、山中などの温泉地に囲まれている。
軽く感じられた罪業を温泉で綺麗サッパリと流し落とす。
イイ考えだ。
だが、そんな時間はない。今日の宿泊地も温泉だから夜に「洗い落とす」ことにする。
しかし、車で通り抜け、温泉地の雰囲気だけ感じてみようじゃないの!
俗っぽい心が叫ぶ。
▼山代温泉、明治時期の総湯を復元した「古総湯」
▼すぐ脇に和モダンの建物。おっとー、悪名?高き「星野リゾート 界 加賀 」。
ボンビーには親の仇のような存在だ。いつか仇を討ったやるわっ!
▼山中温泉総湯 菊の湯
▼さらに山中温泉でも最も俗っぽい場所に行ってみる。へそ曲がりの仲間のような橋はS字に「曲がっている」からヤケに親しみを感じる。
こういう人道橋は有料のことが多いが、ここは無料。
でかした!山中温泉! さらに親しみを感じる。心躍るこの橋は、使河原宏デザインの「あやとり橋」だそうだ。
この橋の下に降りると渓流沿いに「川床」ができているそうだが、ヤメトコ!すぐ近くにもう一つ、全く趣が違う橋が。
▼「こおろぎ橋」。名勝の由来は諸説ありだが、むかし同名のTVドラマがあったそうだ。
仲間のような「へそ曲がり橋」より、心落ち着く眺めだわね!
ここも緑のシャワーを浴びているかのようだ。
カメレオンなら完璧な「ミドリ」になれる!
さてグリーンシャワーでなく、暖かい温泉シャワーの出る宿が待つ方面へ移動です。
では次回!まで、ユックリおやすみなさい。