鎌倉幕府はイイクニで覚えた
しかし今はイイハコだそうだ。800年も前なのだ、わしには7、8年の差なんて、どうってことない。しかし歴史を語るに、学ぶに、7年は大差になるのかしら? 常光院はその頃の開基だそうだ。いつも思う、歴史を生で伝えるのは寺社しかない、と。盛衰、再建などを経ながらも堂々と歴史を紡ぎ続けている。千年もの時間を遡り、その場に立たせてくれるのは寺社が残っていればこそである。
新緑に囲まれた茅葺きの本堂は静寂さに包まれている
正月や縁日でもないこの日の午前中は、他に訪れる人もない。独り占めにする景観に、何とは無しに「モッタイナイ」という言葉が頭に浮かぶ。
関東で茅葺きの本堂を持つ寺には多くは訪れていない。わしの頼りない記憶力をねじり出しても、西方寺、佐竹寺、鎌倉は杉本寺くらいしか出てこない。
御朱印をいただいた住職から、その茅葺きを維持する大変さを聞いた。さもありなん、費用もさることながら、全国を巡回するように動いている茅葺き職人集団が少ない。部分的な修理でさえ寺サイドで事を運べないそうだ。売り手市場だ。京都の観光寺ならば、そこらへんの事情はもう少し良好かもしれない。拝観料も取れない寺社の苦労がうかがい知れる。
関東百八地蔵尊16番さんは、高い木立に埋もれるように、いや高さや、陽光は木立に譲るように優しい笑顔で凛としておられたョ。