12年の4月の鎌倉・杉本寺に始まり、週末中心の巡礼で、その年の8月に結願。
専用納経帳もない東京23区内をめぐる「江戸三十三観音」は、1日ずつ、たっぷり巡れば数日で結願してしまいます。
坂東は、そうはいきません。
ほとんど車利用でしたが、それでも4ヶ月以上を要しました。
歴史ある本格霊場巡りを結願し、那古寺の住職から「巡拝畢」の証をいただく時は、ここまでに至る道のりが脳裏に浮かび、誰でも感慨深いものです。
しかし、終わってしまった、という一抹の寂しさもあります。
いくらか大げさな表現かもしれませんが、何事もそうで、目的を持って始めて、そして成し遂げた時には、嬉しさと寂しさが同時にやってくるものです。
帰路につく道すがら、満ち足りたゆったりとした気分と、明日以降どうしようか?という思いも頭をよぎります。
御朱印収集を始めて日が浅い ワタシは、早くも翌日、焦るように、もう次の巡礼を探し始めていたのです。
那古寺の住職がお話してくれた「巡礼スタイル」を自分のものにするのには、もう少し時間が必要のようです。
▲28番 滑河山 龍正院(滑河観音)・天台宗・千葉県成田市滑川
▲29番 海上山 千葉寺・真言宗豊山派・千葉市中央区千葉寺町
▲30番 平野山 高蔵寺(高倉観音)・真言宗豊山派・千葉県木更津市矢那
▲31番 大悲山 笠森寺(笠森観音)・天台宗・千葉県長生郡長南町笠森
▲32番 音羽山 清水寺(清水観音)・天台宗・千葉県いすみ市岬町鴨根
▲33番 補陀洛山 那古寺(那古観音)・真言宗智山派・千葉県館山市那古
那古寺の住職は、ワタシの御朱印帳を丁寧に1ページ、1ページ確認されていました。
「この頃、あと1つ、2つの札所を残しておきながら、ここへ来て結願印をくれという若者たちが多いんですよ」
「ルートの都合で、こちらに先に来てしまったようです」
「『この後、必ず残した札所を巡るから結願印をお願い!』と頼まれます。でも墨書きと御朱印は押しますが、結願印はここまでの32箇所の印が全て揃って無ければ、断固押しません」と嘆かれていた。
もちろん、全ての札所印をいただいてきた わしには耳障り良く、小気味良く聞こえました。
そして「現代の巡礼は、御朱印収集を主目的に巡礼する人、また、一途な思いを持って巡礼する人と様々だろうが、とにかく、ゆとりを持って、観音様とゆっくり対面して、お願いして、そして訪れる先々で美味しいものを食べ、知らなかった景色を眺め、たまには温泉にゆったりと浸って、巡ってください」というような内容のお話をしてくださった。
なるほど、ワタシのスタンプラリー的スタイルも見破られたのかも?
いろんな面でもっと「ゆとり」が必要のようです。