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山形の友人から「密造酒」が届いた。
山形の友は、あるメジャーな家電量販店のオール電化、住宅リフォーム部門に席を置いています。
秋田との県境に近い山奥に住まう老夫婦からオファーがあり、山形市内から県境近くまで営業に出かけたとか。
その友の性格は同世代や若者には嫌われることが多い。本人も営業職は嫌っているものの、その成績は本人の意に反して極めて良好。
何よりもお年寄りには滅法好かれます。話がうまい、そのうまさをウルサく感じる人も多々いるのですが・・。
老夫婦を相手に住宅リフォームの話をしているうちに、案の定、スッカリ好かれたらしい。
チョー山奥の田舎です。
お茶と自家製漬物を出され、話がリフォームから酒の話題に移った頃、やおら老主人が席を立ち「ちょと待ってろ!」と座敷の奥に消えたそうです。
それを目で追う老婦人、おばーちゃんは、ダンナが何をしようとしているか、とっくに理解しているようで、ニヤニヤしていたそうです。
主人が戻ってくる。両腕に一升瓶を1本ずつ、ぶら下げて縁側まで戻ってきました。
「これを持って、けぇれっ!」
一升瓶の中の液体は白い、白濁していたそうです。
ドブロクです。
こんな山奥で造る幾らかの密造酒には官憲の眼も緩やかのようです。
老主人は「ドブロク造りは、もう、何十年も繰り返している」とか。
もっとも近代において、酒税法や酒類製造免許などが出現する以前は、ドブロクは密造でも何でもなかったはずです。
だから全国的にドブロク祭りが多く伝わり残っています。
▼そんな経緯から、珍しいからか、本人が全部を消化できないからか、おすそ分けに、スタイルの良い壜に移し替えて送ってきました。
濃密な味は好みではない。
好きな人や、造る人は、それが内緒で秘密に造られるからこそ、その味覚は蜜の味でしょう。
酒の話をしたかった訳ではありません。
「密」と「蜜」の字、山と虫、部首脚の違いだ。
「密」はネット辞書検索すると「ひそかにしまっておくこと。また、そのもの。秘蔵。」とでます。秘密、そのままです。
「密」の字を用いている寺は数多くあります。密蔵院、彌勒密寺、大観密寺など、密教の寺院。
六波羅蜜寺は「蜜」を用い、サンスクリット語の音に漢字を当てはめています。般若波羅蜜多です。
そう言えば、壇蜜と言う訳の分からないタレントもいます。
あいかわらず何を言いたいのか、こちらも訳が分からず、焦点がボケっぱなしです。
「密」は「蜜」と親戚。二つは密接だ。
今回記事の密蔵院は密造酒と何の関係もありません。
▼ご覧のように桜満開時の参道周辺は、蜜の味の如くステキでした。「安行桜」という種類で「沖田桜」とも呼ばれるそうで、ソメイヨシノより一足先に咲き、一足先に散ってしまうそうです。しかしソメイヨシノより色が濃く、見応え十分なサクラです。彼岸の頃の陽気により「安行桜」とソメイヨシノの競演も見られる年もあるそうです。
▼山門前の「納めの不動」。
▼境内にも濃いピンクが溢れています。梅もそうですが、桜の木も品種が多くて、早く咲く桜は梅なのか、桜なのかわからない時があります。草木の名称など知識のない人間にとって、桜の品種といえば「ソメイヨシノ」「シダレサクラ」「カワズザクラ」「ヒカンザクラ」「ヤエザクラ」くらいを並べるのが精一杯です。でも名前を知っているだけで、見分けはつきません。しかし、品種などわからなくとも桜の花は平等に人々の目を楽しませてくれます。
密蔵院へは、ぜひ春の彼岸前後に訪問して「安行桜」をお楽しみください。
▼寺のHPに開花情報も出ています。