崖観音の御朱印
「がけかんのん」船形山 大福寺 真言宗智山派(千葉県館山市船形835)
▼大福寺の御朱印です。
千葉県で御朱印巡りをしていると、意識せずとも「安房国札」何番という朱印に出会うことがあります。
崖観音はその第三番札所ですが、御朱印をいただいているほとんどの人が霊場は意識せずに単に「崖観音」として参拝していることと予想されます。
今時の若者、とりわけキラキラ御朱印を求める若者たちに「安房国」と記されていても正確に読める人は少なく、またその地域がどこか、知っている人も少ないかもしれません。
▼旧国名「安房国」は房総半島の南端になりますが、大福寺はもう少し上総よりで、東京からだと館山の手前になります。
車で館山自動車道を走ると、山の中ばかりで少しも面白くありません。
富津市あたりから一般道のR127に出れば、海が見え隠れする海沿いの道になり、走っていても館山自動車道のように退屈しません。
▼そこから南下して富浦に入り、R127から離れてさらに海沿いの「内房なぎさライン」に車を進めると、山の中腹に大福寺の観音堂がへばりついているのが見えてきます。
このルートを走る人は御朱印や寺に関心がなくても、崖に貼り付く赤い観音堂を遠望したら誰しも立ち寄ってみたくなるに違いありません。
それだけ観光的要素の高い大福寺ですが、拝観は無料です。
関東地方には少ない懸造りの建物はポピュラーなところでは上野公園内の清水観音堂や、ここと同じ千葉の笠森観音がなどが思い浮かびますが、山の中腹に浮遊するような景観は大福寺にはかなわないと思います。
▼それだけに観音堂にたどり着くことも一苦労です。
▼100段以上ある石段の途中には一息つけるような踊り場はありません。
▼717年に行基が彫った磨崖仏の観音像を覆うような観音堂は、その後に慈覚大師が創建したと伝わりますが、ヒィヒィしながらやっと上り詰めた観音堂内は、下から見た時より感動は少ないかもしれません。
しかし観音堂から眺める海は、急な階段を登ってきた甲斐があります。
▼東京湾から離れ、外海につながる館山湾です。半島の先端には洲崎神社があります。
大福寺へはもちろん電車で内房線の「那古船形駅」を利用すれば、1kmほどの距離ですので歩けます。
話は変わりますが、
電車の場合「那古船形駅」の一つ手前の「富浦駅」で下車して寄り道しながら大福寺に向かうのがおすすめ。
車でも大福寺に向かう内房なぎさラインとR127が二股に分かれる手前500mほどのところで適当に海側に進んでみます。
▼最近、異国っぽい景観で人気が出たスポット「原岡桟橋」があります。
実はワタシもまだ行ったことはありません。写真はすべてフリー素材からお借りしたものですが、ぜひ行ってみたい場所でもあります。
桟橋だけならに海に囲まれた日本には無数にあります。
キーとなっているのは、その「幅と長さ」に「電柱」だと思いますが、まるで海に突き刺さっているような感じがキーなのかもしれません。
この写真を見て、とっさにある映画の衝撃的なラストシーンの荒野を思い出しました。
デビッドフィンチャー監督の「セブン」です。
▼こんな荒野が映画の衝撃的ラストシーンとなるのですが、電柱が鮮明な記憶となっています。よく見れば桟橋の電柱とは違いますが、雰囲気、イメージは似てなくもありません。
最近、関東周辺でも従来観光地ではなかった人気スポットが多数紹介されています。
ネットが日常的な媒体となっているからこそ、こんな非日常的な空間が話題や人気となるのでしょう。
▼茨城の「石切山脈」なども行ってみたい誘惑にかられるスポットですが、原岡桟橋も含め、いつか御朱印とともに記事にできればと思っています。
▼崖にへばりつく懸造(かけづくり)の寺院記事。